国際化する不動産に、国境の壁を越えた価格欽定の圧力が働くことになる。外国人は日本の不動産をほかの日本国内の不動産とだけ比べているわけではない。比べる対象は中国、韓国、インドの不動産だ。中間的に見ると、日本の不動産攻防は国際的な不動産の価格水準に収斂していく公算が大きい。どういうことかというと、例えば東京・銀座の地価はパリのシャンゼリゼやニューヨークの5番街と比べて高いか安いかという目で見られることになる。
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アジアからも人が集まる銀座なのに5番街より価格が大幅に安ければ、なお上昇余地があるということになる。その一方で、例えば島根県は日本海を隔てて隣の韓国や中国との競争になる。こちらはまだかなり割高であり、中長期的に下落圧力がかかる。地価の格差は一段と拡大するだろう。厳しい現実ではあるが、証券化して国を開いたことに伴う必然的な帰結である。もちろんマネーの国際化は流入一方ではない。サブプライムローン問題を受けて欧米の金融機関の経営が揺らぎ、08年になると不動産マネーを引き揚げる動きも目立ちはじめた。海外マネーは移ろいやすいマネーであることには留意する必要がある。また、国内マネーが流出する環境も整いつつある。すでに私募ファンドは海外不動産に投資をしているし、外資系金融機関などは国内で海外REITに投資するファンドを売っている。08年5月には日本のREITの海外不動産投資も解禁された。証券化に伴う不動産の国際化は2000年以降の主要国にほぼ共通した現象で、日本の投資家も海外不動産投資はしやすくなっているのだ。しかも、人口が減りはじめた日本で不動産価格の下落が懸念されるのに対し、インドなど成長率の高い途上国などでは地価の上昇が期待しやすい。