設計者との顔合わせをしたときに、もっとも重要なことを付け加えておきましょう。それは、予算の問題です。予算を明らかにしなかったことで、結局家づくりに失敗した人はあまりにも多いのです。これが計画の初期段階でつまずく最大の要因といっても過言ではありません。誰しも、自分の資産を他人に知られたくはないでしょう。あるプライバシーに関するアンケートで、「他人に知られたくないもの」として、「預金通帳の額」がナンバー1にあげられていました。施主が予算を明らかにしない理由は、二つほど考えられます。(1)設計者に「案外予算が少ないな」と思われたくない、(2)できるだけ安く建てようと思い、駆け引きをしようと考える、というようなことだと思います。しかし、それはとても残念なことです。最初にお互いの信頼関係が築けなければ、何千万円もの家を一年近く一緒に造るという共同作業を進めることは難しいからです。設計者に予算を明かさないということは、医者に、自分の症状を明かさないで「治療せよ」といっているのに等しいのです。ところが、建築においては、このようなことが実に多いのです。残念な現象と言わざるを得ません。
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