大地震時には、玄関の扉の耐震性が大きな問題となる。マンションなどでは、延焼防止機能をもたせるために、扉の鉄板の間に断熱材をサンドイッチした構造になっていることが多い。しかし、大きな力がかかると形が歪んでしまい、元に戻らなくなる。そうすると、扉が開かなくなってしまう。兵庫県南部沖地震では、開いたまま閉じることができない扉も多く見られた。この場合は、夜間の防犯上問題があり、安心して寝られないことになる。地震直後に被害の大きかった宝塚、芦屋、長田北、ポートアイランドに出かけ、高層マンションの扉千二百七十三枚を調べ、さらにデータを分析した。被害の多いマンションでは、半分以上の扉が動かなくなっていた。地震時に求められる扉の機能では、延焼防止と逃げ道をふさがないことが最も重要である。調査結果を検討した結果、窓枠の残留歪みを解決することが重要だったのだ。扉の周囲にはコンクリートの壁がある。この壁が地震で押されて壊れてしまい、扉枠が変形してしまう。また、扉自身の強度不足による変形、扉の止め金具が壊れて勤かなくなる開閉機能障害が見られた。こうした被害に対しては、各種の対策が考えられている。扉の下に脱出用のハッチをとりつけ、扉が動かなくなったときにはハッチから脱出する。扉の開閉用の金物接合部にスプリングをつけて、変形を吸収する方法も有効だ。もっと進んだ方法は、扉の周囲にある壁の変形を回避するために、扉枠を壁に固定しないで、地震時には扉をスライドさせるものがある。スライド方式を採用すると、高さ二メートルの扉に上下五センチのずれが生じても、扉は開閉ができることが確認されており、地震対応型の扉が各メーカーから販売されている。
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