理事会は対象を三社に絞った。すぐに一社に決定するわけでなく、ここから最終ヒアリングという作業を行うのである。業者を一社ずつ個別に呼ぶ。見積もり内容のうち、他社と比べて金額が飛び抜けて高かったり安がったりする項目について、どういう方針で見積もりをしたのか、それは設計側の意思に沿っているのかどうかを一つ一つ確認していく作業である。そしてこの調整を経て、最終金額を文字通り入札してもらうのだ。ヒアリングだけでも一日仕事である。
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だが、充実感のある仕事だ。すべてのヒアリングを終了したところで、最終金額を開いて見ると、寒冷地に本社のある中堅ゼネコンと、塗料メーカーの子会社とが、わずか二一万円の差で首位を争っていた。内容的にも両社とも十分に信頼が置けそうだった。念のために両社の株価や帝国データバンクの評価も参照したが、経営的にも問題はないと思われた。工事の保証期間は最長七年にも及ぶので、その間に倒産されては困るからだ。そこで、寒冷地の工事の経験の差と、二一万円の差とを評価して、中堅ゼネコンに工事を依頼することに決めたのである。設計見積もりでは一億三〇〇〇万円の工事が、結局、税込み七八五四万円で契約できたのだ。